展覧会の概要
福田美術館で開催されている「トラ時々ネコ 干支セトラ」(会期:2022年1月29日~4月10日)に行ってきました。この展覧会は寅年に因んで、江戸時代中期から昭和にかけて活躍した画家たちによる、虎や猫、干支に登場する動物たちを描いた作品が展示されています。
展覧会の構成
第1章 トラ、ネコ、ネコトラ
第2章 干支セトラ
第3章 猫 大集合!
感想①「個性溢れるトラたち」
この展覧会では、個性溢れる楽しい“トラ”たちを観ることができました。と言うのも、江戸時代までの日本では実際に虎を観た人がなく、想像上の動物でもあったからです。
逆に言えば、画家たちの想像力が試される画題だったとも言えるでしょう。彼らは、中国から入ってきた絵画や毛皮、猫などを参考に想像を膨らませていました。
目が飛び出ている中山高陽《虎図》、思わず笑ってしまう曾我蕭白《虎図) 、どこか可愛らしさが残っている円山応挙《虎図》、猫的な動作をする長沢芦雪《猛虎図》、不安そうな宋紫石《虎図》、白髪の眉毛が特徴的な片山楊谷《月下虎図》など、バラエティに富んでいました。
感想②「大橋翠石の作品」
一方、実際に動物園で虎を観察して描いた大橋翠石の作品は流石の出来栄えです。そして、大橋翠石の作品の魅力は、虎の迫力だけでなく虎の親子の愛情を描いたところでしょう。
さらに今回は虎だけでなく、大橋翠石が描いた猫やネズミ、鳳凰、犬、イノシシなどの作品も展示されていて、その画力には驚かされます。大橋翠石《瑞祥(鳳凰・鼠に宝槌》、《雪中野猪図》なども見事と言うしかありません。
(大橋翠石《雪中野猪図》)
感想③「トラ人気投票」
展示室では、“トラ人気投票”も実施されており、円山応挙、曾我蕭白、岸竹堂、長沢芦雪、長沢芦州、大橋翠石の6名の作品がエントリーされていました。前期の投票結果は、福田美術館の公式ホームページや公式ツイッターで発表されています。
私は前期展の最終近くに行きましたが、その時の会場での投票は、1位:曾我蕭白、2位:大橋翠石、3位:円山応挙と続いていました。その後、WEB投票も加わって、知名度の高い円山応挙がラストスパートをかけたようですね。
◆トラ人気投票(前期)結果
1位:円山応挙/1144票
2位:大橋翠石/1128票
3位:曾我蕭白/744票
4位:長沢芦雪/241票
5位:長沢芦州/231票
6位:岸竹堂/192票
(福田美術館の公式ホームページより)
感想メモ
福田美術館の入り口に、展覧会に合わせて“ねこ様用顔はめパネル”が設置されていました。これは、円山応挙の《虎図》の顔の部分を切り取ったパネルで、ここに愛猫の顔を差し込んで撮影し、それをSNSに投稿しようという企画のためのものですね。
一方、“紙バージョンの顔はめ用紙”を使えば自宅からでも投稿できます。この場合は、美術館内で配布されている用紙や、公式ホームページからダウンロードした用紙を使います。
試しに「#福田美術館」でTwitter検索してみますと、多くの方が投稿されているようで、なかなか盛り上がっていますね。中には、犬や腕も混じっていましたが・・・・・・。猫様はともかく、人間様も楽しんでおられるようです。
美術展情報
トラ時々ネコ 干支セトラ
会期:2022年1月29日(土)~ 2022年4月10日(日)
休館日:火曜(祝日の場合は翌平日)
観覧料:1,300円(一般)
音声ガイド:無料(スマホアプリ利用)
写真撮影:可能
図録:なし
Web:福田美術館「トラ時々ネコ 干支セトラ」