展覧会の概要
大阪市立自然史博物館で開催されている「植物 地球を支える仲間たち」(会期:2022年1月14日~4月3日)に行ってきました。この展覧会は、美術展ではなく、サイエンスの立場から植物について様々に学べる内容になっています。
展覧会の構成
第1章 植物という生き方
第2章 地球にはどんな植物が存在しているか?
第3章 植物の形と成長
第4章 植物はどのように進化してきたか?
第5章 本当は怖い植物たち
第6章 生命の源、光合成
感想①「動かないという選択」
「あなたに生物を創ることを許可します。ただし、その場所から動くことはできない生物に限ります。」ということを神様から言われたとします。あなたならどんな生物を創るでしょうか?
実際、こうした条件下で考えられるあらゆるパターンが植物として存在していることが分かります。動物のように餌を捕れなくても生きられるように、植物は光合成を通して自ら栄養を作り出していますね。一方、食虫植物のように動けなくても積極的に昆虫などを捕食する植物もいます。
(左から「ハエトリソウ(約100倍拡大模型)」、「モウセンゴケ(約200倍拡大模型)」
また、自分から動けなくても、子孫を残すために他の昆虫などを上手く誘導して受粉させる仕組みを様々に考え出している様子は実に驚きです。これらを見ていますと、単なる偶然の産物ではなく、明らかに意志をもって進化している様子が窺えます。
(左から「アングレクム・セスキペダレ」、「キサントパンスズメガ」)
感想②「世界一大きな花」
世界最大の花として「ラフレシア」の実物大模型が展示されていました。この花は、インドネシアのスマトラ島に分布する種類で直径111 cmの花を持っています。しかし、この花には葉緑体がありませんので、他の植物に寄生して栄養を吸収する寄生植物だそうです。
(「ラフレシア(実物大模型)」)
ちなみに、この花の臭いはひどい腐敗臭で、この臭いでハエなどを引き寄せて受粉させているようです。会場出口のところに、この花の臭いが嗅げるところがあり、実体験できるようになっていました。
一方、花の集まりとして見た最大の花は「ショクダイオオコンニャク」になります。この模型も展示されていて、長い美脚の女性が逆立ちをしたような姿でした。
(「ショクダイオオコンニャク(実物大模型)」)
感想③「クックソニア・バランデイ」
植物の進化に関するコーナーでは、チェコ国立博物館が所蔵する、目に見える大きさの化石として最古の植物化石「クックソニア・バランデイ」が世界初公開されていました。
高さが約10 cmの維管束植物の化石で、実は100年以上前に発見されて同博物館に収蔵されていましたが、その価値が分からず、最近になってその価値が再発見されたようですね。
(左から「クックソニア・バランデイ」、「クックソニア(実物大模型)」)
他にも、水辺で繁殖した初期の陸上植物の時代(約4億年前)から、森が大きく成長する時代(約3億年前)、裸子植物の時代(2億3000年前)へと、時代と共に植物がどのように変化していったかが、分かりやすく展示されていました。
(左から「森の誕生」コーナー、「初期の陸上植物」コーナー)
感想メモ
今回は、初めて大阪市立自然史博物館にやってきました。広々とした長居公園の中にある博物館で、長居に移転してから既に48年近く経つようです。展示室は、自然史博物館本館のほうではなく、花と緑と自然の情報センターの2階にあるネイチャーホールで開催されていました。
俳優の滝藤賢一さんがメインナビゲーターを務める音声ガイドも販売されていて、じっくり楽しめました。美術展と違って解説パネルや映像が多く、音声ガイドを聞きながら解説パネルも同時に読むという、時短鑑賞にもチャレンジしてみました。
解説パネルをじっくり読む根気のある方なら、敢えて音声ガイドを利用しなくても良いかもしれません。逆に、音声ガイドをメインにするなら、解説パネルをじっくり読まなくても簡潔に内容が理解できますので、その方法もお勧めですね。
美術展情報
植物 地球を支える仲間たち
会期:2022年1月14日(金)~ 4月3日(日)
休館日:月曜日(ただし3月21日、28日は開館)、3月22日(火)
観覧料:1,500円(一般)
音声ガイド:600円(俳優:滝藤賢一)
写真撮影:映像以外は可能
図録:2,200円
Web:大阪市立自然史博物館「植物 地球を支える仲間たち」