【感想】「2022年度 第1回コレクション展」(京都国立近代美術館、会期:2022/3/18~5/15)レビュー

展覧会の概要

京都国立近代美術館で開催されている「2022年度 第1回コレクション展」(会期:2022年3月18日~5月15日)を鑑賞しました。

 

今回は、展示エリアの一角を「サロン!雅と俗-京の大家と知られざる大坂画壇」に浸食されていましたので、展示点数はいつもより少なくなっています。一方で、今回は単なる展示だけでなく、森村泰昌や河井寬次郎の作品を用いた新しい企画も楽しめます。

京都国立近代美術館「2022年度 第1回コレクション展」

 

展覧会の構成

合わせ鏡の対話/不在の間――森村泰昌とドミニク・ゴンザレス=フォルステル
上方と洋画
エデュケーショナル・スタディズ03 眼で聴き、耳で視る|中村裕太が手さぐる河井寬次郎
陶芸の色彩
近代工芸にみる文房具
西洋近代美術作品選

 

感想①「森村泰昌」

京都市京セラ美術館で開催されている「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」に合わせて、当美術館でも森村泰昌企画が開催されていました。今回は、森村泰昌氏の作品と共に、交流のあるドミニク・ゴンザレス=フォルステルの作品も合わせて展示されていました。

 

森村氏の作品は、「たぶらかし」シリーズや「自画像の美術史」シリーズなど、予想以上に完成度が高くて驚きました。森村氏が得意とする「自分の身体を使って西洋名画や著名人に扮したセルフポートレート写真」の威力は、単なるユーモア作品というだけでなく、ここまで来ると賞賛するしかないですね。

ドミニク・ゴンザレス=フォルステル《無題「映画について」》と森村泰昌《ポートレイト(九つの顔)》

(ドミニク・ゴンザレス=フォルステル《無題「映画について」》と森村泰昌《ポートレイト(九つの顔)》)

 

感想②「河井寬次郎」

今回は、「さわる」「きく」などさまざまな感覚を使うことで誰もが作品に親しみ、作品その新たな魅力を発見・共有していく「感覚をひらく」事業の一環として、河井寬次郎の《三色打薬陶彫》に焦点を当てた企画が開催されていました。

 

河井寬次郎《三色打薬陶彫》に対し、「なぜ人差し指の上に玉を乗せたのでしょうか?」という疑問を投げかけ、それを手がかりに河井寬次郎の作品づくりに迫っていました。

エデュケーショナル・スタディズ03 眼で聴き、耳で視る|中村裕太が手さぐる河井寬次郎

 

「ABCコレクション・データベースvol.2 河井寬次郎を眼で聞き、耳で視る」では、専用のウェブサイトも公開されていますので、ご興味のある方はご覧下さい。なかなか充実した内容になっていますよ。

 

⇒ 河井寬次郎を眼で聞き、耳で視る

 

感想③「長谷川潔」

西洋近代美術のコーナーでは、花を描いた作品が集められ、ファンタン=ラトゥール、ルノワール、ヴラマンク、長谷川潔の作品が並んでいました。

 

それぞれの画家の個性がよく出ていました。長谷川潔の作品は、花瓶やコップに入れられた花を描いていますが、他の洋画家たちとは異なり、その独特な世界観が実に心地好いですね。

長谷川潔《白い花瓶に挿した草花》

(長谷川潔《白い花瓶に挿した草花》)

 

感想メモ

今回のコレクション展では、インスタレーション的な作品もあり、いつもとは少し異なる雰囲気でした。同じ作品でも、異なる視点からアプローチすることで、新たな世界観を生み出せるようですね。

 

美術展情報

2022年度 第1回コレクション展

会場:京都国立近代美術館
会期:2022年3月18日(金)~5月15日(日)
休館日:月曜日
観覧料:430円(一般)
音声ガイド:無料(スマホアプリ利用)
写真撮影:一部を除き可能
図録:なし
Web:京都国立近代美術館「2022年度 第1回コレクション展」
2022年04月15日|ブログのカテゴリー:2022年投稿, 展覧会レビュー