展覧会の概要
泉屋博古館で特別公開されている「モンゴル匈奴墓出土 漢代紀年漆器」(会期:2022年3月26日~5月15日)を観てきました。これは、紀元前3世紀末から紀元後2世紀にかけて勃興した匈奴の墓から出土した漆器2点で、住友財団の文化財修復助成によって修復されたものです。
展覧会の構成
①モンゴル出土漆器「耳杯」
②モンゴル出土漆器「旋」
(青銅器館4室 特設コーナーで特別公開)
感想①「耳杯」
青銅器館4室の特設コーナーでひっそりと、2点の修復された約2000年前のモンゴル出土漆器が展示されていました。一つは、耳杯と呼ばれる器で、酒や羹(あつもの)を飲むための容器です。
銘文からこの漆器は、皇帝が使用するために制作された、当時の最高級漆器であることが分かるそうです。漆器片を載せるための専用の安定台の上に置かれていましたので、最初は亀か何かの置物かと思いましたが、まったく違いました。
感想②「旋」
もう一点の「旋」は、酒や羹を入れる円筒形の「尊(そん)」という容器を載せた三足つきの承皿(うけざら)のことです。
こちらの漆器も銘文から、皇帝が使用するために制作された最高級漆器のようです。ただし、その全体像が分かるような状態ではなく、断片が残っているだけです。
このように、漆器は保存が難しい出土文化財で、今回、住友財団の「海外の文化財維持・修復事業助成」をうけて2020年より修復がなされていたようです。今回、モンゴル国へ返還される前に特別に泉屋博古館で公開されています。
感想メモ
立派な無料パンフレットも制作されていて、修復過程や漆器の銘文、漆芸技法の調査の内容などが詳しく記載されていました。
私たちの知らないところで、国を超えて様々な協力がなされているんですね。公開期間は残り少ないですが、泉屋博古館にお越しの際は、是非とも約2,000年前の貴重な最高級漆器をご覧下さい。
展覧会情報
モンゴル匈奴墓出土 漢代紀年漆器
会期:2022年3月26日(土)~5月15日(日)
休館日:月曜日
観覧料:800円(他の展覧会も含む)
音声ガイド:なし
写真撮影:可能
図録:無料パンフレットあり
Web:泉屋博古館「モンゴル匈奴墓出土 漢代紀年漆器」