展覧会の概要
兵庫県立美術館で開催されている「2022年コレクション展Ⅰ」(会期:2022年1月22日~7月3日)を鑑賞しました。この展覧会は、「旅」をテーマにした「た・び・て・ん」と小企画「生誕100年 元永定正展 -伊賀上野から神戸、そしてニューヨークへ-」から構成されています。
展覧会の構成
「た・び・て・ん」
パートⅠ 旅への誘い
パートⅡ 出発、道中、滞在、遁走
パートⅢ みんなで行こう-名所の旅
パートⅣ 作者の旅
小企画「生誕100年 元永定正展 -伊賀上野から神戸、そしてニューヨークへ-」
1 伊賀上野から神戸へ ―抽象との出会い―
2 阪神間 ―具体美術協会に入会して―
3 ニューヨーク ―流れ、そして新たな表現へ―
感想①「旅への誘い」
展示室に入りますと、最初に林勇気さんのビデオインスタレーション《 another world-alternative 》が眼前に拡がり、不意を突かれた感覚でした。「どこまで近づいて良いのかな」と思いながら部屋の奥へと進んでみました。壁に映し出された大量の日用品などの映像がどんどん流れていく様子を眺めながら、今までのコレクション展とは一風異なる体験を楽しめました。
(林勇気《 another world-alternative 》)
続いて、詫摩昭人《逃走の線1》や児玉靖枝《深韻》シリーズなどの幻想的な作品が並んでいました。「旅への誘い」というテーマに相応しく、これからどこに連れて行かれるのかな、という期待感が湧き上がってくるような面白いスタートになっていました。
感想②「元永定正展」
そして、意外なことに、続く展示が小企画「生誕100年 元永定正展」となっていました。今回、楽しみにしていた企画でもありましたので、その強烈な色彩感覚と抽象表現を堪能できました。
元永定正の作品に、様々な色の絵具が流れながら混ざりあっている様子を表現したものがありますが、あれは、琳派の“たらし込み”の影響を受けていたんですね。解説パネルを読んでいて、そうだったんだと思わず納得してしまいました。
(元永定正展の展示風景)
初期のデッサンから、可愛い絵本風の作品、面白い抽象表現、鮮烈な色の芸術まで、幅広い元永定正の作品が楽しめる内容になっていました。展示室で配布されている小さなパンフレットには、それらの作品がまとめて掲載されていますので、お取り忘れのないように。一方、写真撮影も可能ですのでお気に入りの作品をしっかり写真に収めておくこともできます。
感想③「彫刻」
今回のコレクション展も盛りだくさんな内容でしたが、いつもと異なっていたのが彫刻展示の内容でした。普段はそれほど大きく展示内容が変わるわけではありませんでしたが、今回は「彫刻家たちのイタリア」がテーマとなっていて、いつもとは違う作品群が楽しめました。
メダルド・ロッソ、ヴェナンツォ・クロチェッティ、マリノ・マリーニなどのイタリア彫刻家の作品や、イタリアで学んだり制作したりした、山本正道、小林且典、吾妻兼治郎たちの作品が展示されていました。
(ヴェナンツォ・クロチェッティ《マグダラのマリア》)
感想メモ
今回は中学生たちの団体鑑賞と一緒になったこともあり、いつもと少し違った雰囲気の鑑賞タイムとなりましたが、いつもの通り写真撮影をしながらマイペースで楽しみました。
直前に「ミニマル/コンセプチュアル」を鑑賞していたので、それらの作品と対比しながら、コレクション作品を味わうことになりました。その時代特有の芸術運動が様々に展開していく様子を眺めるのも面白いですね。
展覧会情報
2022年コレクション展Ⅰ
会期:2022年1月22日(土)~7月3日(日)
休館日:月曜日 ただし3月21日[月] は開館、翌22日[火] は休館
観覧料:500円(一般)
音声ガイド:なし
写真撮影:可能
図録:なし
Web:兵庫県立美術館「2022年コレクション展Ⅰ」