【感想】「MONDO 映画ポスターアートの最前線」&「2022年度 第2回コレクション展」(京都国立近代美術館、会期:2022/5/19~7/18)レビュー

展覧会の概要

京都国立近代美術館で開催されている「MONDO 映画ポスターアートの最前線」&「2022年度 第2回コレクション展」(会期:2022年5月19日~7月18日)を鑑賞しました。この2つの展覧会は、同じコレクションギャラリー内で開催されています。

 

「MONDO 映画ポスターアートの最前線」は、京都国立近代美術館と国立映画アーカイブが協働して開催する映画ポスター展第9弾で、様々な映画のオリジナルポスターを生み出しているアート集団「MONDO(モンド)」が制作した無声映画から最新作までのポスター71点が展示されています。

 

一方、「2022年度 第2回コレクション展」では、美術館コレクションから「没後50年 鏑木清方展」と関連のある作品やW. ユージン・スミスの写真作品、生誕140年にあたる坂本繁二郎と青木繁の絵画などが展示されています。

京都国立近代美術館「MONDO 映画ポスターアートの最前線」&「2022年度 第2回コレクション展」

 

展覧会の構成

MONDO 映画ポスターアートの最前線

2022年度 第2回コレクション展

・西洋近代美術作品選
・「没後50年 鏑木清方展」によせて
・戦争と写真:W. ユージン・スミス《第二次世界大戦》と《スペインの村》
・近代工芸の着物
・飾りと装いの工芸
・坂本繁二郎と青木繁

 

感想①「レギュラーとヴァリアント」

「MONDO 映画ポスターアートの最前線」では、斬新なポスターが並んでいました。解説を読みますと、MONDOのポスターでは、本来の版を「レギュラー」、改変された版を「ヴァリアント」と呼んでいるそうです。

 

そして、同じデザインの別バージョンとなる「ヴァリアント」には、作家が自作に対してどのような可能性を見ているかが窺えるという点において、特に興味深いと書かれていました。これは、北斎などの版画でも同様の観点がありますね。

 

映画ファンにとっては勿論、そうでない方でも、映画からインスパイアされた現代アート・ポスターを存分に楽しめる企画になっていました。

京都国立近代美術館「MONDO 映画ポスターアートの最前線」

 

感想②「没後50年 鏑木清方展の関連作品」

東京画壇の鏑木清方は、京都画壇の作家ともつながりがあり、特に土田麦僊、西村五雲、西山翠嶂、菊池契月とは密接な交流があったようです。

 

コレクション展では、鏑木清方の《砧》と共に、こうした作家たちの作品も展示されていました。他に、金鈴社の吉川霊華、平福百穂、松岡映丘や、高弟の伊東深水、山川秀峰たちの作品も並んでいました。まさに、「没後50年 鏑木清方展」を補完するような内容になっていました。

村上華岳《妓女舞踊図》

(村上華岳《妓女舞踊図》)

 

感想③「坂本繁二郎と青木繁」

坂本繁二郎(1882-1969)と青木繁(1882-1911)は、同じ福岡の久留米出身で、幼馴染みの関係にあります。そんな二人にとって今年は生誕140年にあたります。

 

ここでは、青木繁の作品4点と坂本繁二郎の作品16点が、ほぼ制作順に展示されていました。夭折した青木繁と長命を得た坂本繁二郎という対照的な二人の画業が比較展覧できる内容になっています。

 

二人の関係を理解した上で、再度作品を眺めますと、また違って観えてくるから不思議なものです。天才性に任せて短命で一気に燃え尽きるタイプと、長命で実績を重ねていくタイプとでは、やはり後者の方が幸せな人生になりやすいのかも知れませんね。

坂本繁二郎《母仔馬》

(坂本繁二郎《母仔馬》)

 

感想メモ

「MONDO 映画ポスターアートの最前線」の展示会場内に、パンフレットを希望する方は入り口の受付に申しつけてください、という内容のメッセージが書かれていました。

 

早速、受付で尋ねてみますとまだ貰えました。全16ページの大判ブックレットで、制作部数が限られているようでした。作品リストと共に、MONDOについての解説や展示されていた作品のカラー図版(約半数)、ポスター作家の略歴などが掲載されていました。

 

展覧会情報

MONDO&2022年度 第2回コレクション展

会場:京都国立近代美術館
会期:2022年5月19日(木)~7月18日(月)
休館日:月曜日
観覧料:430円(一般)
音声ガイド:無料(スマホアプリ利用)
写真撮影:一部を除き可能
ブックレット:無料(MONDO)
Web:京都国立近代美術館「MONDO 映画ポスターアートの最前線」
Web:京都国立近代美術館「2022年度 第2回コレクション展」
2022年06月29日|ブログのカテゴリー:2022年投稿, 展覧会レビュー