美術館の概要
嵯峨嵐山文華館で開催されている「花ごよみ ー横山大観・菱田春草らが咲きほこるー」(会期:2022年4月23日~7月3日)に行ってきました。この展覧会は、近代日本画の巨匠たちによる花や果実を描いた作品が楽しめる内容になっています。
展覧会の構成
第1章 季節を彩る花と果実
第2章 日本の四季を描く
感想①「巨匠たちが描く花」
金屏風に大きな桜と月を描いた加山又造の《おぼろ》から始まるこの展覧会では、横山大観や菱田春草、菊池契月、土田麦僊、西村五雲、速見御舟など、錚々たる画家たちの作品が楽しめました。
特に今回は、改めて横山大観の作品の魅力を見せつけられた気がしました。霧に包まれた嵐山の桜を描いた《嵐山図》、竹が生い茂るなかに梅の花と鳥を描いた《紅梅》、実を付けたヤシャブシにとまったホオジロを描いた《ほふじろ》、たらしこみ技法が美しい《桃》など、見所が満載でした。
感想②「春夏秋冬をまとめて鑑賞」
横山大観《春夏秋冬》では、季節ごとの景色が心に染み入ってくるように感じました。また、菱田春草の《夏の朝/冬の夕》では、朦朧体を駆使した画風が作品の季節感の対比性を高めています。
一方、今尾景年の《花鳥図》では、四季に合わせた鳥と花を選んで描かれています。この作品は今尾景年26歳の時の作品だそうで、花だけでなく鳥たちの存在感も強く描かれていますね。
感想③「冨田渓仙」
福田美術館で開催されている「やっぱり京都か好き」展で冨田渓仙の作品が展示されていましたが、嵯峨嵐山文華館でも季節感が美しい冨田渓仙の作品が数点展示されていました。
白や青、緑、赤など季節に合わせて色彩豊かに描き分けられています。独特の情感が魅力的で、思わず心が安らいでしまいます。
感想メモ
この展覧会は、もともと2021年4月末に開催された企画展で、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために僅か2日間で閉幕してしまったものです。それを今回、展示内容を再編成して開催されています。
美術館にとって、天敵とも言える新型コロナウイルスの流行ですが、負けずに展覧会を開催し続けておられる学芸員を始めとする美術館スタッフの皆様には、唯々頭の下がる思いです。こんな時だからこそ、より一層、美術作品を通して心をより豊かにしたいですね。
展覧会情報
花ごよみ
会期:2022年4月23日(土)~7月3日(日)
休館日:火曜日 ゴールデンウィーク中は休まず開館、5/10(火)、5/11(水)は休館
観覧料:900円(一般)
音声ガイド:なし
写真撮影:一部を除き可能
図録:なし
Web:嵯峨嵐山文華館「花ごよみ」