【感想】「没後70年 梥本一洋 ~優美なる日本画の世界~」(京都文化博物館、会期:2022/6/4~7/31)レビュー

展覧会の概要

京都文化博物館で開催されている「没後70年 梥本一洋 ~優美なる日本画の世界~」(会期:2022年6月4日~7月31日)に行ってきました。この展覧会は、京都で活躍した日本画家・梥本一洋(1893-1952)の没後70年を記念して開催されています。

京都文化博物館「没後70年 枩本一洋 ~優美なる日本画の世界~」京都文化博物館「没後70年 枩本一洋 ~優美なる日本画の世界~」

 

展覧会の構成

基本的に制作年順に展示されていました。

 

感想①「幻想的な表現」

山元春挙に学んだ梥本一洋は大和絵を得意とする画家で、本展覧会でもその魅力を存分に味わえました。そんな中、幻想的な雰囲気が魅力的な《女人高野》という作品がありました。

 

この作品はもともと三幅対の作品だったようですが、山が描かれていたとされる中幅は失われてしまっています。現在は、合掌しながら白馬上の蓮花台に乗った女人が描かれた作品と、杖を持った女人たちを描いた作品が残っています。

 

何れの作品も、霧のようなぼかし効果が幻想的で、女人たちの頭の周りには後光も描かれています。同年に制作された《木の下闇》にも同様のぼかしが観られましたが、こちらの作品は幾分妖艶さが含まれていてまた別の魅力がありました。

 

感想②「酒呑童子」

「伊吹山絵詞」と能「大江山」に発想を得た作品《酒呑童子》も展示されていました。この作品では、酒呑童子が美形の男子として描かれています。これは、昼間は美男の姿をしているけれども、夜になると鬼の姿に変わるという様子を描いたようです。

 

この酒呑童子をよく見てみると、赤い口や尖った爪などその正体を暗示するかのように描かれています。他にも、天橋立らしき風景や星座など、様々な要素が描き込まれています。

 

感想③「青が美しい」

大和絵を得意とするだけあって日本的な魅力溢れる作品が多い印象でした。特に、青の使い方が上手くて感動的な仕上がりになっていました。

 

四季折々の12ヶ月の様子を描いた《四季十二趣》や《源氏物語》などに見られる青の表現が実に美しいですね。王朝文化の優雅な雰囲気にピッタリでした。

 

感想メモ

この展覧会は、特別展ではなく2階総合展示室で開催されている「京の至宝と文化」での展示でした。簡単な図録パンフレットももらえて、なかなか充実した内容でした。

 

当日は、学芸員によるギャラリートークが開催されていて、詳しい解説も聴けました。さらに、梥本一洋の四女の方も来られていて、貴重な鑑賞日となりました。

 

展覧会情報

没後70年 枩本一洋

会場:京都文化博物館
会期:2022年6月4日(土)~7月31日(日)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)
観覧料:500円(一般)
音声ガイド:なし
写真撮影:不可
図録:無料パンフレットあり
Web:京都文化博物館「没後70年 梥本一洋」
2022年08月04日|ブログのカテゴリー:2022年投稿, 展覧会レビュー