【感想】「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」(神戸市立博物館、会期:2022/7/16~9/25)レビュー

展覧会の概要

神戸市立博物館で開催されている「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」(会期:2022年7月16日~9月25日)に行ってきました。この展覧会は、スコットランドのエディンバラに位置するスコットランド国立美術館が所蔵する、ルネサンス期から19世紀後半までの西洋絵画史を彩る巨匠たちの作品が展示されています。その内、75点は日本初出品となっています。

神戸市立博物館「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」神戸市立博物館「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」

 

展覧会の構成

プロローグ―スコットランド国立美術館
1 ルネサンス
2 バロック
3 グランド・ツアーの時代
4 19世紀の開拓者たち

 

感想①「チャーチ《アメリカ側から見たナイアガラの滝》」

神戸市立博物館会場では、フレデリック・エドウィン・チャーチ《アメリカ側から見たナイアガラの滝》から展覧会が始まります。壮大な景観で、左上部に描かれた展望台に小さな人が描かれていますが、今にも崩れそうな展望台に見ているこちらが怖くなってしまいます。

 

この作品はアメリカ人画家・チャーチが描いた大作ですが、アメリカで財をなしたスコットランド人が購入し、母国スコットランドへの感謝の気持ちを込めて、スコットランド国立美術館に寄贈されたものだそうです。

 

感想②「レンブラント《ベッドの中の女性》」

この展覧会では、注目すべき作品が数多くありましたが、そんな中でも、レンブラント《ベッドの中の女性》で描かれている女性の心情表現は見事でした。

 

この作品は、聖書(トビト記)に登場するサラを描いているのではないかと考えられています。サラは、以前の夫7人を結婚初夜に悪魔によって殺されています。そして、ここでは8人目の新郎トビアが悪魔と戦っている様子を不安げに眺めているシーンを描いているようです。

 

感想③「ジョン・エヴァレット・ミレイ《古来比類なき甘美な瞳》」

ミレイは、ラファエル前派の創設に関わった重要人物ですが、その後、徐々にその創設理念からは離れていくことになります。ミレイ《古来比類なき甘美な瞳》は、紆余曲折を経たミレイ50代の作品となります。

 

スミレを摘んだ籠を持った少女が、静かに一点を見つめながら立っている様子が描かれています。暗い背景に浮かび上がるように描かれた少女には、純真で儚い美しさが見事に表現されています。展示室では、何度も見返してしまう魅力がありました。

 

感想メモ

神戸市立博物館ではミュージアムカードが発売されていて、これを利用すると1年間すべての展示・展覧会が無料で鑑賞できるようになります。料金は、一般3000円、大学生1500円となっていますので、年に2回以上来館される方は、検討の余地がありますね。

 

2Fコレクション展示室カウンターで販売されていますので、申込用紙に住所氏名などを記入すると発行してもらえます。名刺サイズの紙カードで、有効期限は1年後の月末までです。

 

展覧会情報

THE GREATS 美の巨匠たち

会場:神戸市立博物館
会期:2022年7月16日(土) ~9月25日(日)
休館日:毎週月曜・7月19日(火曜)・9月20日(火曜)[ただし7月18日(月曜・祝日)と9月19日(月曜・祝日)は開館]
観覧料:1,800円(一般)
音声ガイド:600円(女優:天海祐希)
写真撮影:毎週土曜日のみ可能
図録:2,500円
Web:神戸市立博物館「THE GREATS 美の巨匠たち」
公式サイト:THE GREATS 美の巨匠たち
2022年08月10日|ブログのカテゴリー:2022年投稿, 展覧会レビュー