展覧会の概要
兵庫県立美術館で開催されている「2022年コレクション展Ⅱ」(会期:2022年7月30日~12月18日)を鑑賞しました。この展覧会は、特集1「リ・フレッシャーズ -新収蔵品紹介展」、特集2「没後50年 吉原治良の小宇宙」、小企画「美術の中のかたち―手で見る造形 彫刻の中のからだ」からなっています。
展覧会の構成
特集1 リ・フレッシャーズ -新収蔵品紹介展
パート1 リフレイン(refrain)-くり返しのリズム
パート2 リフレクト(reflect)-映し出されているものは、何?
パート3 リフレッシュ(refresh)-未来へのまなざし
特集2 没後50年 吉原治良の小宇宙
小企画 美術の中のかたち―手で見る造形 彫刻の中のからだ
感想①「新収蔵品」
特別展「関西の80年代」で印象に残っていた、北辻良央氏の作品も新収蔵品のなかに含まれていました。下絵と彩色した作品がセットになった一連の作品で、繰り返しがテーマのリフレインのパートで紹介されていました。
新収蔵品の中には、三宅砂織さんの映像作品《 Garden(Potsdam) 》(49分)や青木千絵さんの立体作品《 BODY 10-1 》、谷原菜摘子さんの強烈な世界観を描いた作品《創世記》などもありました。兵庫県立美術館のコレクションの幅も大分拡がってきましたね。伊藤継郎や山本六三の個性的な作品も増えて、楽しい鑑賞の機会となりました。
(三宅砂織《 Garden(Potsdam) 》部分)
感想②「没後50年 吉原治良の小宇宙」
今回は特集として吉原治良が取り上げられていました。令和2年度に公益財団法人伊藤文化財団から吉原治良の素描などの作品が大量に寄贈されたそうで、それらの紹介も兼ねていたようです。
これまでよく見てきた、“マル”シリーズの吉原治良ワールドとは、大きく異なる新鮮な感覚の作品が多数展示されていました。魚や貝、働く人々を描いた油彩など、色鮮やかで美しい仕上がりになっていました。
他に、額装されていない素描が数多く展示されていて、生の吉原治良を感じることができる作品が楽しめました。吉原治良の新たな一面が発見できた内容でした。
(吉原治良《無題》)
感想③「美術の中のかたち」
兵庫県立美術館の恒例企画となった、美術作品を手で触って楽しむシリーズか開催されていました。今回は、ロダンやブールデル、マイヨールなど、常設展示室の彫刻コーナーでよく見かけていた作品を触って楽しめる内容になっていました。
当日は、カップルで一緒に作品に触りながら楽しんでいる姿もチラホラ見えました。手荷物を預けたり金属類を外したりと、少しだけ手間がかかりますが、貴重な体験ができる機会になっています。
感想メモ
今回の新収蔵品展は、大阪大学に長年にわたり勤務されてきた、故・大和卓司氏からの1億円超という多額の寄贈を元に、美術館が厳選して購入した作品群が中心となっています。(展示会場では、淡緑のキャプションボードが目印です)
美術館のコレクションの多くは、こうした美術愛好家たちの熱い情熱に支えられています。美術作品を制作する作家たち、それを収集するコレクターたち、そして、美術作品を収蔵・展示する美術館、さらに、それらの作品を鑑賞することで心の豊かを求める鑑賞者たち。こうして、美の循環がグルグル回っているんですね。
展覧会情報
2022年コレクション展Ⅱ
会期:2022年7月30日(土)~12月18日(日)、小企画のみ9月25日(日)まで
休館日:月曜日、9月19日(月)・10月10日(月)開館、9月20日(火)・10月11日(火) 休館、9月26日(月)~10月7日(金)は常設展示室を閉室
観覧料:500円(一般)
音声ガイド:なし
写真撮影:可能
図録:なし
Web:兵庫県立美術館「2022年コレクション展Ⅱ」