【感想】コレクションギャラリー「没後30年 尾田龍展」(姫路市立美術館、会期:2022/6/25~9/4)レビュー

展覧会の概要

姫路市立美術館で開催されている、コレクションギャラリー「没後30年 尾田龍展」(会期:2022年6月25日~9月4日)を鑑賞しました。この展覧会は、姫路市出身の洋画家・尾田龍(おだ りゅう、1906-1992)の没後30年を記念した個展で、初期から晩年の作品と資料が展示されています。

姫路市立美術館 コレクションギャラリー「没後30年 尾田龍展」姫路市立美術館 コレクションギャラリー「没後30年 尾田龍展」

 

展覧会の構成

基本的に制作年代順の展示されています。

 

感想①「作品に漂う暖かさ」

初めて尾田龍の作品を鑑賞しましたが、なかなか味わいのある作品ですね。《帽子をかぶれるこども》や《彫刻する老人》など、どこか暖かいものを感じます。

 

《牛と遊ぶ子ら》では、一転してキュビスム的な作風になっています。製鉄所を取材して描いた《鉄をつくる》シリーズの作品は、一見すると抽象画のようにも見えますが、こちらは製鉄の工程を描いた作品で、鮮烈な赤や黄が印象的でした。

 

感想②「アフリカの色」

尾田は、海外青年協力隊の一員としてアフリカに赴任していた次女を訪ねてアフリカへも旅行しています。その際に描いたスケッチを元にした作品も展示されていました。

 

これらの作品は「アフリカシリーズ」と呼ばれていますが、尾田の目にはアフリカが黄色に覆われた世界に映ったようです。《草原の太陽》や《サヴァンナの恋人たち》では、黄色が美しく輝いています。

 

感想③「緞帳」

1972年に開館した姫路市文化センター大ホールの緞帳は、尾田龍《はりま野》をもとに制作されています。緞帳の制作に際しては、麻、綿、毛、人絹、スフ、アクリル、金、銀の糸や箔等、あらゆる種類の色糸が使われ、西陣本綴織りで制作されています。

 

緞帳の制作期間は100日に及び、制作に要した人員は延べ1200人となったそうです。幅20.5m、高さ8.8m、重量1トンという規模になっています。展示室では、原画《はりま野》と緞帳原画下絵、姫路市文化センター大ホール緞帳の写真が掲示されていました。

 

感想メモ

この展覧会では、写真撮影が可能になっていました。ただし、SNSやWeb上への掲載は不可でしたので、ここで直接ご紹介することはできません。ただ、立派な無料パンフレットもあり、自宅で写真を観ながらじっくり作品を見返せますので、実にありがたいですね。

 

ちなみに、当美術館の國富奎三コレクション室の展示作品も、一部の作品を除いて写真撮影が可能になっていました。最近は、企画展で写真撮影が可能になっていたケースが多かったですので、それらの影響もあったのかもしれませんね。

 

展覧会情報

没後30年 尾田龍展

会場:姫路市立美術館
会期:2022年6月25日(土曜日)~9月4日(日曜日)
休館日:月曜日
観覧料:無料
音声ガイド:なし
写真撮影:可能
図録:無料パンフレットあり
Web:姫路市立美術館「没後30年 尾田龍展」
2022年09月01日|ブログのカテゴリー:2022年投稿, 展覧会レビュー