【感想】「小松美羽展 -霊性とマンダラ-」(阪急うめだギャラリー・阪急うめだホール、会期:2022/9/1~9/19)レビュー

展覧会の概要

阪急うめだ本店内にある阪急うめだギャラリー・阪急うめだホールで開催されている「小松美羽展 -霊性とマンダラ-」(会期:2022年9月1日~9月19日)に行ってきました。この展覧会は、神事としてライブペインティングにも取り組まれている小松美羽さんの堂々たる個展です。

阪急うめだギャラリー・阪急うめだホール「小松美羽展 -霊性とマンダラ-」

 

展覧会の構成

Ⅰ 線描との出会い 死、自画像、エロティシズム
Ⅱ 色彩の獲得 大いなる「目」との邂逅
Ⅲ 開かれた「第三の目」 存在の律動
Ⅳ 霊性とマンダラ 「大調和」の宇宙
未来形の神話たち 抽象と象徴の冒険
ネクストマンダラ-大調和

 

感想①「ライブペインティング」

当初、展覧会初日に実演された「ライブペインティング」を観に行く予定にしていましたが、台風の影響もあって観ることが叶いませんでした。展覧会会場では、その時の様子を収録した映像も上映されていました。ダイジェスト版はYouTubeでも公開されていますね。

 

初めて観る方にとっては、かなり衝撃的な作品制作風景かもしれません。神事として取り組んでおられますので、自動書記や霊言に近い形で描かれているのかもしれません。できる限り、自我を消してインスピレーションを活かした作品制作を心がけておられるようです。

 

会場では、その時に制作した作品や舞台、絵の具、白装束などもそのまま展示されていました。

阪急うめだギャラリー・阪急うめだホール「小松美羽展 -霊性とマンダラ-」

 

感想②「圧倒的な霊的パワー」

会場では、初期の銅版画から2022年に制作された最新作まで、かなりの点数が展示されていました。環境の変化や様々な出会いを通して、作品のレベルが鮮やかな色彩と共に向上していく様子がありありと見て取れます。2022年制作の作品も多数ありましたので、かなり勤勉&精力的に制作されている様子が窺えました。

 

最新作では、宇宙との関係性も垣間見られました。定番となった神獣たちを描いた作品を観ていますと、ごく自然に彼らと会話ができそうな気がしてしまいます。作品が持っている霊的エネルギーが半端なく、まさに作品が生きているという実感がありました。

阪急うめだギャラリー・阪急うめだホール「小松美羽展 -霊性とマンダラ-」

 

感想③「ネクストマンダラ-大調和」

舞台上には、京都東寺に篭もって描かれたという《ネクストマンダラ-大調和》が展示されていました。この作品には、両界曼荼羅図(元禄本)一対が掛けられている東寺灌頂院へのオマージュが込められているようです。

小松美羽《ネクストマンダラ-大調和》部分

(小松美羽《ネクストマンダラ-大調和》部分)

 

ここは、静謐な空間になっていて、こうした新しい宗教美術がさらに発展する予感を抱かせてくれました。目に見えるものだけを扱う傾向が日に日に強くなっていく現在社会において、目に見えない世界へのアクセスを試み、斬新な表現手法で制作を試みる小松美羽さんに今後も注目したいですね。

 

感想メモ

この展覧会は全作品の写真撮影が可能でした。夕方前に入館しましたが、鑑賞者が少なかったことが幸いして、存分に作品を鑑賞・撮影できました。

 

入場に際しては、作品リストだけでなく、鑑賞チケットもありませんでした。ただ、そのせいもあってか鑑賞料が1,000円というお得な価格でした。展覧会場の雰囲気や磁場は非常に素晴らしく、作品のレベルも高いので、各所の美術館と連携して宣伝すればかなりの集客が見込めそうに感じました。意外と知らない美術ファンも多いのではないのでしょうか。

 

展覧会情報

小松美羽展 -霊性とマンダラ-

会場:阪急うめだ本店
会期:2022年9月1日(木)~9月19日(月・祝)
休館日:なし
観覧料:1,000円
音声ガイド:なし
写真撮影:可能
図録:4,400円
Web:阪急うめだ本店「小松美羽展」
2022年09月14日|ブログのカテゴリー:2022年投稿, 展覧会レビュー