【感想】「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」(大阪市立美術館、会期:2022/7/16~9/25)レビュー

展覧会の概要

大阪市立美術館で開催されている「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」(会期:2022年7月16日~9月25日)に行ってきました。この展覧会は、2021年9月に修復作業が完成した、フェルメールの初期の傑作《窓辺で手紙を読む女》が所蔵館以外で初公開された貴重な展覧会になっています。

大阪市立美術館「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」大阪市立美術館「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」

 

展覧会の概要

第1章 レイデンの画家――ザクセン選帝侯たちが愛した作品
第2章 レンブラントとオランダの肖像画
第3章 オランダの風景画
第4章 聖書の登場人物と市井の人々
第5章 オランダの静物画――コレクターが愛したアイテム
第6章 複製版画
第7章 《窓辺で手紙を読む女》の調査と修復

 

感想①「フェルメール《窓辺で手紙を読む女》」

この展覧会は、フェルメール《窓辺で手紙を読む女》の修復プロジェクトに関する内容がメインとなっています。この修復作品は、所蔵館であるドレスデン国立古典絵画館以外では、今回の巡回展が世界初披露となるようです。

 

1979年のX線調査で、壁の下にキューピッドを描いた画中画が存在することが分かっていましたが、長らくフェルメールが塗りつぶしたものだと思われていました。ところが、さらなる分析の結果、フェルメールの死後に何者かによって塗りつぶされたことが分かり、その部分を本来の姿に修復するプロジェクトが始まりました。

 

画中画として描かれたキューピッドをチラシなどで観た時は、手に蛇を掴んでいるのかと思っていましたが、あれは弓だったんですね。そして、足では仮面を踏みつけているようです。この画中画は、手紙を読んでいる少女に対する愛の警告だったようです。

 

感想②「寓意(アレゴリー)」

フェルメールをはじめとするオランダ絵画では、寓意画がよく描かれていました。今回展示されているレイデンの画家たちの作品も寓意に満ちていました。

 

鳥売りを描くことで、娼婦を暗示したり、様々な小物で愛を表現したりと絵解きも面白いですね。ただ、これには何か意味があるのではないかと考え始めますと、純粋に絵を楽しめなくなるような気がしてしまいます。

 

感想③「17世紀オランダ絵画」

オランダ絵画を観ていますと、やはりその絵画技術は凄いですね。ヤーコプ・ファン・ライスダール《城山の前の滝》では、激しい川の流れや、もくもくと立ち上がる雲、まっすぐに伸びる木々、崖の上の城など、見事な景観が描かれていますが、この絵は様々な場所のパーツを組み合わせて描かれているようです。

 

ちなみに、今回の音声ガイドは女優の小芝風花さんと声優の梅原裕一郎さんが担当されていましたが、小芝風花さんの声は穏やかで非常に心地よく聞こえました。やはり美術館で聴く音声ガイドは、癒やし系の声がピッタリくるようですね。

 

感想メモ

当日は10時前頃に入館しましたが、その時はほぼ待ち時間なしで入れました。ところが、午後1時頃に帰る頃には、平日にも関わらず、慶沢園南門近くまで続く長い入場列ができていました。

 

やはりフェルメール関連の展覧会は人気ですね。会期も終わりに近づいてきましたので、今後はより一層混みそうです。鑑賞予定の方はお早めにどうぞ。

 

展覧会情報

フェルメールと17世紀オランダ絵画展

会場:大阪市立美術館
会期:2022年7月16日(土)~9月25日(日)
休館日:月曜日(7月18日、8月15日、9月19日は開館)、7月19日
観覧料:2,100円(一般)
音声ガイド:600円(女優:小芝風花、声優:梅原裕一郎)
写真撮影:不可
図録:2,900円
Web:大阪市立美術館「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」
2022年09月16日|ブログのカテゴリー:2022年投稿, 展覧会レビュー