【感想】「生誕100年 清水九兵衞/六兵衞」(京都国立近代美術館、会期:2022/7/30~9/25)レビュー

展覧会の概要

京都国立近代美術館で開催されている「生誕100年 清水九兵衞/六兵衞」(会期:2022年7月30日~9月25日)に行ってきました。この展覧会は、陶芸や彫刻作品で知られる清水九兵衞/六兵衞(1922-2006)の生誕100年を記念して、その生涯を回顧した内容になっています。

京都国立近代美術館「生誕100年 清水九兵衞/六兵衞」京都国立近代美術館「生誕100年 清水九兵衞/六兵衞」

 

展覧会の構成

最初の展示室では、九兵衞時代の金属彫刻からスタートしますが、その後は基本的に年代順に作品が展示されています。尚、1Fにも作品が展示されていますが、こちらは3Fの展示室を鑑賞した後で観る流れになります。

 

ちなみに、作品制作時に名乗っている名前が時代によって異なりますが全て同一人物です。

・清水洋
・清水裕詞
・五東 衞
・清水九兵衞
・七代清水六兵衞

 

感想①「清水洋、裕詞」

清水洋、裕詞を名乗っていた初期の陶芸作品を観ていても、やはり一流の香りが漂っていますね。そのセンスは流石です。

 

この時代の作品には、陶芸作品としては例外となる肉厚の作品や、予め切れ目を入れて焼成した作品群が印象的でした。

 

感想②「清水九兵衞」

清水九兵衞時代は、金属を用いた彫刻作品がメインとなります。展示室に入って最初に展示されている《AFFINITY》シリーズは、外部空間との親和性がテーマとなっていて、直線と曲線を融合させた作品に仕上がっていました。

清水九兵衞《AFFINITYの継続》

(清水九兵衞《AFFINITYの継続》)

 

一方、表面に朱色を塗った立体彫刻も展示されています。これらの作品は、野外彫刻として全国のパブリックスペースでも展示されていますね。京都国立近代美術館周辺でも様々な野外彫刻が見られます。

清水九兵衞《FIGURE E》

(清水九兵衞《FIGURE E》)

 

清水九兵衞《朱態》in 京都市京セラ美術館

(清水九兵衞《朱態》in 京都市京セラ美術館)

 

会場では、「京の街角てくてく 九兵衛さんマップ」と銘打った案内マップも配布されていました。これを参考にしながら、野外彫刻巡りをするのも楽しそうですね。

 

感想③「七代清水六兵衞」

六代清水六兵衞が急逝し、後を継いだ七代清水六兵衞としての作品は、襲名後7年経って初めて公に陶芸作品が公開されました。ここでは、その時の作品も展示されています。

 

様々な彫刻作品を手がけた上での陶芸作品ですので、そのこだわりも並大抵のものではなかったようです。本当に納得がいく作品ができるまで、作品を公開されなかったようですね。

 

やがて、陶芸と彫刻を融合させた作品にも取り組み、“守破離”と呼ばれる修業過程のお手本になるような活躍をされていました。こうした観点から作品を眺めるのも一興ですね。

 

感想メモ

陶芸-彫刻-融合作品といった具合に、一人の作家人生のなかで一見矛盾する価値観が融合し、発展していく様子がよくわかります。焼成過程で偶然性に左右されてしまう陶芸から、自らのイメージをストレートに表現できる金属彫刻、そして、それらを組み合わせることによって、新たな作品群が誕生しています。

 

公開されているインスタLIVEでは、八代清水六兵衞氏から見た父・七代清水九兵衞/六兵衞の姿や、アシスタントをしていた藤岡五郎氏から作品制作時のエピソードなどをお聞きすることができます。興味のある方は是非ご覧下さい。

京都国立近代美術館インスタグラムアカウント

 

展覧会情報

生誕100年 清水九兵衞/六兵衞

会場:京都国立近代美術館
会期:2022年7月30日(土)~9月25日(日)
休館日:月曜日、9月20日(火)*ただし9月19日(月・祝)は開館
観覧料:1,200円(一般)
音声ガイド:無料アプリ
写真撮影:一部可能
図録:2,900円
Web:京都国立近代美術館「生誕100年 清水九兵衞/六兵衞」
2022年09月24日|ブログのカテゴリー:2022年投稿, 展覧会レビュー