【感想】「2022年度 第3回コレクション展」(京都国立近代美術館、会期:2022/7/22~10/2)レビュー

展覧会の概要

京都国立近代美術館で開催されている「2022年度 第3回コレクション展」(会期:2022年7月22日~10月2日)を鑑賞しました。

 

このコレクション展では、企画展示室で開催されていた「生誕100年 清水九兵衞/六兵衞」の関連展示として、「彫刻家・清水九兵衞」がデビューした1960年代から70年代の版画や、五代・六代清水六兵衞と河井寬次郎の作品、清水九兵衞と出身地が同じで京都で活躍した画家・三尾公三の作品が特集として展示されています。

京都国立近代美術館「2022年度 第3回コレクション展」京都国立近代美術館「2022年度 第3回コレクション展」

 

展覧会の構成

西洋近代美術作品選
伝統/革新
クール、ハード、エロティック――版画におけるフォルムと色彩
五代・六代清水六兵衞と河井寬次郎
京都の工芸
靉光と静物画
特集:三尾公三

 

感想①「五代・六代清水六兵衞」

「生誕100年 清水九兵衞/六兵衞」(七代清水六兵衞、1922-2006)の関連展示として、コレクション展では五代六兵衞(1875~1959)と六代六兵衞(1901~1980)の作品も展示されていました。

 

五代六兵衞は中国陶磁や琳派を意識した作風が特徴で、鮮やかな色彩による花鳥画を描いた作品が見事です。一方、六代六兵衞は釉薬を使った独特の味わいが魅力で、この何とも言えない渋さが良いですね。

五代清水六兵衛《朱錦壺》

(五代清水六兵衛《朱錦壺》)

六代清水六兵衛《紫翠啡鸚哥花瓶》

(六代清水六兵衛《紫翠啡鸚哥花瓶》)

 

 

感想②「三尾公三」

三尾公三(みお こうぞう、1924-2000)は、清水九兵衞と出身地が同じで親交もあった画家です。写真週刊誌『FOCUS(フォーカス)』の表紙絵を56年の創刊号から18年間担当されていたそうです。

 

一見、写真かと思わせるようなイメージ作品ですが、これらは錯覚や残像現象など、さまざまな手法によって生み出された非現実的な表現になっています。不思議な感覚を呼び起こす作品になっていますね。

三尾公三《渚にて(D)》

(三尾公三《渚にて(D)》)

 

感想③「靉光」

靉光(あいみつ、1907-1946)は、大正末期から昭和初期にかけて活動した画家で、その遺作の大部分は、彼の故郷である広島が被爆したことで焼失してしまったようです。

 

京都国立近代美術館は、2020年度に靉光の油彩画《静物》1点を新たに収蔵したことで、合計3点のコレクションになりました。今回のコレクション展ではこれらの3点と共に、近代日本の様々な静物画が楽しめました。

靉光《花(やまあららぎ)》

(靉光《花(やまあららぎ)》)

 

感想メモ

京都国立近代美術館のコレクション展では、企画展に関連した作品がよく展示されていますが、これらの展示を通してこれまで知らなかった作家たちの秀作に出会えることがよくあります。

 

実際に私たちが知っている作家というのはごく一部に過ぎず、そうした作家以外にも優れた方はたくさんおられます。コレクション展というのは、そうした方々の作品に出会える貴重な機会ですね。

 

展覧会情報

2022年度 第3回コレクション展

会場:京都国立近代美術館
会期:2022年7月22日(金)~10月2日(日)
休館日:月曜日
観覧料:430円(一般)
音声ガイド:無料(スマホアプリ利用)
写真撮影:一部を除き可能
図録:なし
Web:京都国立近代美術館「2022年度 第3回コレクション展」
2022年09月28日|ブログのカテゴリー:2022年投稿, 展覧会レビュー