展覧会の概要
嵯峨嵐山文華館で開催されている「どうぶつ美術館」(会期:2022年7月16日~10月10日)に行ってきました。この展覧会は、古来多くの画家が取り組んできた「動物」をテーマにした作品が勢揃いしています。
展覧会の構成
第1章:動物に込められた意味
第2章:動物と人との関係
感想①「文学的作品①」
第1章では、迫真の写実画が続くなかで、虎図で有名な大橋翠石の動物画が充実していました。そんな中、池田遙邨の《すすきのひかりさえぎるものなし山頭火》で描かれたキツネが何ともギャップがあって面白いですね。
(池田遙邨《すすきのひかりさえぎるものなし山頭火》)
ここでは、一面の枯れススキのなかからひょっこり顔を出しているキツネが描かれています。池田遙邨は竹内栖鳳に師事していた画家ですが、晩年には句境の絵画表現に挑戦していたようです。そうした意味では、文学的な作品と言えるのかもしれません。
感想②「文学的作品②」
第2章では、動物と人間との関係を描いた作品が登場します。狩猟や戦、家畜として人間と生活を共にしている姿が描かれています。そんな中に、中国の故事に取材した円山応挙の水墨画《巣父許由図》もありました。
(円山応挙《巣父許由図》)
皇帝から帝位を譲ると言われたものの、それを断った許由は耳が穢れたと言って川で耳を洗っています。そこに牛に水を飲ませようとしてやってきた巣父が、逆にそんな穢れた水は牛にも飲ますことはできないと言って去って行くという逸話です。
こうした作品も文学的な作品のひとつでしょう。背景となる物語を知った上で鑑賞しますと、より一層その情景がありありと実感できて楽しいですね。今村紫紅の《苦行林》という作品もそのひとつで、出家時の釈迦に寄り添う白馬・カンタカを描いた作品です。
感想③「身近な生き物たち」
動物と言えばペットとしても身近な存在です。そんな愛らしい姿を描いた作品も展示されていました。速見御舟や木島櫻谷が描く“犬”や、川合玉堂や菱田春草が描く“猫”などが楽しめました。丸山晩霞の《群鶏》では、画面いっぱいに可愛い鶏が溢れていて、思わず笑ってしまいます。
さらに、大橋翠石が描いた“金魚”や冨田渓仙が描いた“蟹”もありました。普段、何気なく生活していますが、こうした多種多様な生き物たちが人間生活を豊かにしてくれていることがよく分かりますね。
感想メモ
嵯峨嵐山文華館ではQRコードをかざして入場ゲートを通るようになっています。駅の改札口のようなオシャレなシステムです。形は異なりますが、京都市京セラ美術館や大阪中之島美術館などもQRコード式を採用していますね。時代に合わせてどんどん進化しています。ただ、検温システムは早く無くなって欲しいですね。
展覧会情報
どうぶつ美術館
会期:2022年7月16日(土)~10月10日(月・祝)
休館日:火曜日 8月19日(金)~21日(日)は臨時休館
観覧料:900円(一般)
音声ガイド:なし
写真撮影:一部を除き可能
図録:なし
Web:嵯峨嵐山文華館「どうぶつ美術館」