【感想】「シダネルとマルタン展 最後の印象派」(美術館「えき」KYOTO、会期:2022/9/10~11/6)レビュー

展覧会の概要

美術館「えき」KYOTOで開催されている「シダネルとマルタン展 最後の印象派」(会期:2022年9月10日~11月6日)に行ってきました。

 

この展覧会は、19世紀末から20世紀前半にかけてフランスで活躍したアンリ・ル・シダネル(1862-1939)とアンリ・マルタン(1860-1943)を取り上げた展覧会となります。生涯にわたって親交を深めた二人ですが、共に印象派や新印象派、象徴主義などの流れを受けつつ、アンティミスト(親密派)としても活躍しました。

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展覧会の構成

1.エタプルのアンリ・ル・シダネル
2.象徴主義
3.習作の旅
4.アンリ・マルタンの大装飾画のための習作
5.ジェルブロワのアンリ・ル・シダネル
6.ラバスティド・デュ・ヴェールのアンリ・マルタン
7.ヴェルサイユのアンリ・ル・シダネル
8.コリウールとサン・シル・ラポピーのアンリ・マルタン
9.家族と友人の肖像

 

感想①「アンリ・ル・シダネル」

アンリ・ル・シダネルはインド洋のモーリシャス島に生まれ、その後、フランス北部を中心に活動し、最後の印象派の一人とも呼ばれています。

 

シダネルの作品には、どこか心の奥底をくすぐられるような神秘的で幻想的な魅力がありました。初期の作品《ベルク・孤児たちの散策》や《カミエ、砂丘の羊飼い》などを観ても、実に奥深い魅力を感じます。

 

《モントルイユ=ベレー、朝》では、淡い色彩のなかに、どこか寂寥感があります。そして、《ビュイクール、月明かりのなかの教会》《イゾラ・ベッラ、ブドウ棚》《ジュルブロワ、花咲く木々》など、幻想的な画風の作品が特に心地よく、おとぎの国に訪れたように気持ちになってしまいます。

 

感想②「アンリ・マルタン」

一方、アンリ・マルタンは、トゥールーズ生まれの画家で、象徴主義的な画風が魅力的です。マルタンも最後の印象派の一人と呼ばれています。

 

特に、マルタンの作品では人物を描き込んだ作品が印象深く、思わず引き込まれそうになります。初期の作品《野原を行く少女》や《祈り》では、深い精神性も感じられますね。

 

特に目の表現が独特で、《青い服を着た少女》のようにぼかした目と、背景の表現が見事に調和しています。《腰掛ける少女》では、その鮮やかな色使いと少女の雰囲気が実に印象的でした。

 

感想③「撮影許可作品」

展覧会場では、シダネルとマルタンの作品が合計3点のみ撮影が許可されていました。これらの作品は彼らの魅力の一部ではありますが、最後の印象派と呼ばれる理由がよくわかりますね。

 

アンリ・ル・シダネル《ジェルブロワ、テラスの食卓》

(アンリ・ル・シダネル《ジェルブロワ、テラスの食卓》)

 

アンリ・マルタン《二番草》

(アンリ・マルタン《二番草》)

 

感想メモ

印象派の流れを受けているにも関わらず、私にとっては聞き覚えのない二人の画家でしたが、実に印象深い展覧会となりました。まだまだ知らない画家で素晴らしい作品を生み出されている方々が沢山おられますね。

 

尚、この展覧会は京都市京セラ美術館のメンバーシップの方であれば無料で鑑賞できますので、お見逃し無いように・・・。

 

展覧会情報

シダネルとマルタン展

会場:美術館「えき」KYOTO
会期:2022年9月10日(土)~ 11月6日(日)
休館日:会期中無休
観覧料:1,100円(一般)
音声ガイド:なし
写真撮影:一部可能
図録:2,600円
Web:美術館「えき」KYOTO「シダネルとマルタン展」
2022年10月27日|ブログのカテゴリー:2022年投稿, 展覧会レビュー