展覧会の概要
兵庫県立美術館で開催中の「ボストン美術館所蔵 THE HEROES 刀剣×浮世絵 -武者たちの物語」(会期:2022年9月10日~11月20日)に行ってきました。この展覧会は、優れた日本美術コレクションで知られるボストン美術館の所蔵作品から、厳選された武者絵や刀剣、刀剣の鐔(つば)などが展示されています。
展覧会の構成
神代の武勇譚
平安時代の武者
源平時代の英雄
鎌倉時代の物語
「太平記」の武将たち
川中島合戦
小説のヒーローたち
ボストン美術館の名刀
感想①「武者絵」
武者絵に関しては、お馴染みの歌川国芳や歌川国貞、月岡芳年、勝川春亭たちの作品がメインになっていました。流石の出来栄えで、当時の人々が熱狂したのも分かる気がします。
一方、こうしたヒーローものが人気を博した背景には、軍記物や土蜘蛛退治などの物語が庶民の重要な娯楽として定着していたことがあるでしょう。武者絵を通して、当時の人々が何に興味・関心を持っていたかが窺える展示内容でもありました。
(歌川国貞「茨鬼 戻橋綱逢変化」)
感想②「刀剣」
刀剣も多数展示されていましたが、こちらはある程度、刀剣に関する基礎知識がありませんと、その魅力は十分には分からないかもしれません。今回は、音声ガイドが役立ちましたね。
女性の方々も、熱心に刀剣の写真撮影をされていましたので、改めて女性の刀剣人気の現状がよく分かりました。武者絵よりも、刀剣の方が写真撮影のチャンスを掴むのが大変でした。
(太刀 銘 備州長船住兼光)
感想③「刀剣の鐔(つば)」
この展示では、武者絵とともに、それを題材にした「刀剣の鐔(つば)」も多数展示されていました。近づいてよく見てみますと、精巧な細工が施されている様子がよく分かります。
そして、それがどんな場面を描いているのかが分かるぐらい、象徴的な図柄が彫り込まれていました。本来、手を護るための鐔(つば)のはずですが、こうしたところにも、こだわりがあったようです。
(土蜘蛛退治図鐔 銘 松涛軒吾竹貞勝[花押])
感想メモ
この展覧会では、展示作品全ての写真撮影が可能になっていました。これは実にありがたいことなのですが、一方で、写真撮影にこだわっていますと、実物の鑑賞が疎かになるというジレンマが生じます。
最初から図録を購入するつもりでしたら、お気に入りの作品に絞って写真を撮れば良い訳で、他の作品は展示会場での鑑賞に専念できることになります。やはり、理想はこれでしょうね。
展覧会情報
ボストン美術館所蔵 THE HEROES 刀剣×浮世絵
会期:2022年9月10日(土)~11月20日(日)
休館日:月曜日、ただし9月19日[月・祝]と10月10日[月・祝]は開館、9月20日[火]と10月11日[火]は休館
観覧料:1,800円(一般)
音声ガイド:600円(俳優:黒羽麻璃央、声優:小西克幸)
写真撮影:可能
図録:3,300円
Web:兵庫県立美術館「ボストン美術館所蔵 THE HEROES 刀剣×浮世絵」
公式サイト:ボストン美術館所蔵 THE HEROES 刀剣×浮世絵