アサヒビール 大山崎山荘美術館で開催されている「ジョアン・ミロの彫刻 ―夏のアサヒビール大山崎山荘美術館コレクション」(会期:2019年6月22日~9月1日)に行ってきました。
最初に、アサヒビール 大山崎山荘美術館のご紹介をしておきましょう。この美術館は、実業家の加賀正太郎が別荘として所有していた英国風の山荘を、アサヒビール株式会社と京都府、大山崎町が協力して復元整備し美術館として利用しています。加賀正太郎自らが設計した建物とそれを取り巻く庭園が特徴です。従って、大多数の美術館とは趣が異なり、木々に囲まれた英国情緒の溢れた山荘での洒落た観覧が楽しめます。
最寄りのJR山崎駅と阪急大山崎駅からは、高齢者優先で送迎バスが運行しています。駅から歩いて美術館に行っても10分程度で、それほど時間が掛かる訳ではありません。ただ、山荘だけあって途中の道はかなり傾斜がきつくなっているので、足腰に自信のない高齢の方は送迎バスを利用される方が無難でしょう。
◆夏目漱石の山荘訪問記念碑
私は、日曜日の朝10時少し前に到着しましたが、入り口のゲートは10時に開き、トンネル(琅玕洞)をくぐるといよいよ美術館の敷地に入っていきます。しばらく歩くとレストハウス(無料休憩所)があり、そこのコインロッカーに荷物を預けて美術館へと向かいます。因みに、美術館にはリュックなどの40cm×40cm以上の荷物の持込が禁止されていますので、大型の荷物はコインロッカーに預ける必要があります。
◆琅玕洞(ろうかんどう)
今回の「ジョアン・ミロの彫刻」展は、入り口通路と本館1Fの展示室1、「夢の箱」(山手館)の3か所で作品が展示されていました。入り口通路にミロの彫刻1点、展示室1には、ミロの彫刻3点とミロの年表、「ブロンズ彫刻のつくりかた!」と題したショーケースがあり、①ロストワックス鋳造、②ブロンズの着色についての解説がありました。
そして、そこから通路を渡って厳かな雰囲気の「夢の箱」展示室へと進むと、そこにはミロの彫刻10点と絵画2点が展示されていました。展示数は少ないもののミロの作品のみで構成された展覧会で、ミロの芸術観を味わえる貴重な内容でした。
個人的には、《若い女性》という平面的な作品になぜか惹かれました。ミロ好きの方にとっては堪らない芸術空間になっています。一方、理解できない方にとっては不思議な世界が展開しているように見えるかもしれません。
解説パネルに書かれていた次の文章が印象的でした。「私が石を拾ってもそれは単なる石にすぎないが、ミロが拾えばそれはミロになる」(ミロの友人ジョアン・プラッツ)。様々な廃物や物品を利用して芸術作品を生み出したミロを言い表した名句だと思います。
先日、姫路市立美術館で観覧した「奇蹟の芸術都市バルセロナ展 カタルーニャ近代芸術の精華」にもミロの作品が数点展示されていましたが、そこではバルセロナの歴史のなかでミロを再認識することになりましたが、今回の展覧会では純粋にミロの作品に焦点を絞ってじっくり味わうことになりました。