【感想】「ジョアン・ミロの彫刻 ―常設展示」(アサヒビール大山崎山荘美術館、2019/6/22~9/1)レビュー

アサヒビール 大山崎山荘美術館で開催されている「ジョアン・ミロの彫刻 ―夏のアサヒビール大山崎山荘美術館コレクション」(会期:2019年6月22日~9月1日)では、同時に常設展示も行われています。

 

「ジョアン・ミロの彫刻」を鑑賞した後は、常設展示の鑑賞へと進みました。まず、当美術館の所蔵品の中核をなす山本爲三郎コレクションの名を冠した山本記念展示室です。ここでは、山本爲三郎が支援した「民藝運動」と関わりの深い河井寛次郎と濱田庄司の陶芸作品を中心に展示がなされていました。そして、展示室2~4、喫茶室には、ヨーロッパやペルシャなどから収集した海外の壺や鉢などが展示されており、当時の海外の様子を垣間見た気がしました。

 

最後は、この美術館が所蔵する著名な名作が展示されている地中館「地中の宝石箱」へと進みました。この地中館は、山手館「夢の箱」と同様に建築家・安藤忠雄氏が設計しています。円柱形のギャラリーが地中に埋め込まれており、ギャラリーへはコンクリートの階段を降りて入っていきます。

 

◆山手館「夢の箱」へと続く通路と栖霞楼(奥の白い建物)

アサヒビール 大山崎山荘美術館 山手館「夢の箱」へと続く通路と栖霞楼(奥の白い建物)

 

◆橡ノ木茶屋と左後方に地中館「地中の宝石箱」の一部

アサヒビール 大山崎山荘美術館 橡ノ木茶屋と左後方に地中館「地中の宝石箱」の一部

 

入口前の壁には小型のロダン《考える人》が展示されていました。ギャラリーに入ると、クロード・モネ《睡蓮》《アイリス》をメインに、ルノワール《ココの肖像》、モディリアーニ《少女の肖像》、ピカソ《横たわる女》、ヘンリー・ムーア《トルソ》、イサム・ノグチ《リンガ》が展示されていました。

 

それほど広い空間ではありませんが、モネやルノワールの影響なのか、印象派の作品に特有な温かみのある空気感が漂っていました。実は、ギャラリーに入る手前のところで向かいの階段方向にも、マイヨール《女性像》が展示されていたようですが、動線から外れていたので気が付きませんでした。帰ってから展示作品リストを見ていて気づきましたが手遅れでした。なので、これから行かれる方は頭の片隅に留めておいてください。

 

木々が生い茂る日本の山荘美術館で、スペインのミロやピカソ、印象派のモネ、ルノワール、フランスで活躍したモディリアーニ、イギリスのムーア、アメリカ生まれのイサム・ノグチなどの作品が鑑賞できるというのも、なんだか不思議な感覚です。しかし、こうした作品を生み出した作家はもとより、彼らの作品を収集し展示してくれた方々にも感謝したいですね。

2019年08月20日|ブログのカテゴリー:2019年投稿, 展覧会レビュー