【感想】「高橋節郎館」(豊田市美術館)のご紹介!

豊田市美術館に併設されている「高橋節郎館」のご紹介をしておきます。1984年に豊田市で開催された展覧会がきっかけとなり、漆芸家の高橋節郎(たかはしせつろう)氏から多数の作品が豊田市に寄贈されました。それを受けて、1995年に豊田市美術館の隣に「高橋節郎館」が開館し、高橋節郎の作品を展示するとともに、漆文化の普及を目的に活動を展開しています。

高橋節郎館

 

高橋節郎館には、漆を使った屏風やパネル、立体、版画、墨彩画、クラフトなど、多様な漆作品が展示されています。その豪華で厳かな雰囲気の作品群はとても神秘的で、こんな世界観を持った作品があったんだと驚きました。

 

展示室に入って最初に眼に飛び込んできた、古代の埴輪や鳥などが描かれた作品《夢・縄文の星座》を観た瞬間、心をガシッと掴まれてしまいました。この作品は、箔押(はくおし)と呼ばれる技法を用いて制作された作品で、漆面に金箔や銀箔、プラチナ箔を貼り付けています。

 

室町時代頃に中国から日本に伝わり、日本では沈金と呼ばれる技法を元にした、高橋が鎗金(そうきん)と呼ぶ技法で制作された作品もとても幻想的で、観ていると異世界に引き込まれそうな気分になってしまいます。

 

さらに、木の上から木屎漆(こくそうるし)で肉付けをしていく木心乾漆(もくしんかんしつ)と呼ばれる技法で制作された立体作品も、その黒い光沢と絶妙な造形が調和していて見事な出来栄えでした。

 

他にも、色漆で図を描き、金銀粉を蒔いてから上塗りし研ぎ出す、色研出蒔絵(いろだしまきえ)と呼ばれる技法で制作された作品や、色錆絵(いろさびえ)と呼ばれる技法で制作された作品など、さまざまに工夫された作品が展示されていました。豊田市美術館へ行かれた際には、是非とも足を運んでいただきたいですね。

2019年09月17日|ブログのカテゴリー:2019年投稿, 美術館情報