兵庫県立三木山森林公演内にある森の風美術館で開催されている「仲野壽志 版画展 -輪廻・生への対話-」(会期:2019年9月1日~9月29日)に行ってきました。
仲野壽志(なかの ひさし)さんは、美術団体「春陽会」(東京)の会員で、現在、兵庫県南あわじ市にアトリエを構えておられます。当日は展覧会場にもおられて、来館者に作品の解説をされていました。私が行ったときは、版画制作の手順を解説しながら、色を重ねることによって生まれる効果について話されていました。
館内には、1969年から2019年の最新作まで、幅広い制作年代の作品が展示されていました。初期の作品は、エッチングやアクアチントを用いて、かなり緻密で神秘的な作品を制作されていました。作品タイトルには、輪廻や生、ニルヴァーナなど、仏教的な用語を援用されており、思想的な深みをもった作品となっていました。
そして、それらは《宙のかけら》シリーズなど、一見抽象絵画的にも見える作品へと昇華し、それが、鮮やかな色彩を伴った花の作品へと成長しているかのようでした。こうした異なる時期に制作された作品であっても、作品の背景には、いつも輪廻や生といった時間を伴ったテーマが内包されているようです。