【感想】「鉄斎の花鳥図」(鉄斎美術館別館「資料館」、2019/6/28~10/1)レビュー

清荒神清澄寺(きよしこうじんせいちょうじ)内にある鉄斎美術館別館「資料館」で開催されている「鉄斎の花鳥図」(会期:2019年6月28日~10月1日)を鑑賞してきました。現在、鉄斎美術館「聖光殿」は、資料整理のために休館しているので、今回の展覧会は鉄斎美術館別館「資料館」で開催されています。観覧料は無料です。

 

清荒神清澄寺に近づくと手前に無料の駐車場があり、そこから出店が並ぶ道路を暫く歩くと山門が現れ、そこをくぐると境内となります。やがて、左手に売店が見えてきて、その奥に拝殿へと続く階段があります。鉄斎美術館別館「資料館」は、その階段を登らずに、真っすぐ行った直ぐ左手にあります。

 

寄棟(よせむね)造り平屋建の鉄斎美術館別館「資料館」は、通常、当山の歴史、信仰、行事の説明と共に什物や所蔵品を順次展示しています。資料館の中央部が展示室になっており、その周囲は全面ガラス張りの回廊になっています。

 

ところで、なぜ清荒神清澄寺内に鉄斎美術館があるのかと不思議に思われるでしょう。実は、清荒神清澄寺第37世法主・坂本光浄と近代文人画家・富岡鉄斎(1836~1924)は交友を結んでいたんですね。そして、法主坂本光浄の「宗美一体」の理念を継承した清荒神清澄寺が、鉄斎の作品を収集してきたという背景があります。

 

展示室は小さなスペースで、今回は富岡鉄斎の花鳥図関連の作品が展示されていました。花鳥図には、富貴や不老長寿、立身出世、子孫繁栄、脱俗隠逸などの吉祥が込められており、富岡鉄斎もこうした花鳥図を得意としていました。鉄斎は、中国古来の伝統だけでなく、本草学や博物学から得た知識を総動員して制作に当たっています。

 

展示室には、31歳の作品《名花十友図》から、89歳の作品《花鳥図》《富而不驕図》まで、幅広い作品が展示されていました。特に、80代の作品が多い印象がありました。文人画家らしく高齢でも力強い作品を数多く遺しています。

 

富岡鉄斎本人は、儒者としての自覚が強く、絵画は余技と考えていたようです。そして、作品を鑑賞する際には、賛文を読んで欲しいと言っていたようです。各々の作品には賛文が記されており、その絵の意味するところが書かれていますが、展示室ではそうした賛文をわかりやすく解説されていました。

2019年10月03日|ブログのカテゴリー:2019年投稿, 展覧会レビュー