神戸市立小磯記念美術館で開催されている、コレクション企画展示「絵画の“まなざし”を感じて」(会期:2019年9月14日~11月10日)を鑑賞しました。この展覧会は、小磯良平や神戸にゆかりのある画家の作品の中から、「視線」という観点に注目した作品が選ばれて展示されています。
展覧会の構成は以下のとおりです。
<展示室1・2>
絵画のまなざしを感じて
・彼らが見つめる先にあるのは
・交わされる視線が示すもの
・画家のまなざしを感じて
・トライやるウィークコラボ企画 展覧会の作品を選んでみよう!紹介コーナー
<展示室3>
小磯良平作品選Ⅲ
特集:挿絵原画「古都」【川端康成・著】
「絵画のまなざしを感じて」では、小磯良平の《二人裸婦》のように、鑑賞者がドキッとするような視線を投げかけてくる作品や、中西勝の《黒い聖母子》のように強烈な視線が鑑賞者に向かって差し込んでくる作品など、印象深い作品が並んでいました。
一方で、網谷義郎の《手を開く》のように顔が塗りつぶされている作品や、鴨居玲の《風船の女》のように顔が髪の毛で隠されている作品など、目が描かれていないにも関わらず視線を感じる作品など、視線というテーマを設けることで、その特徴が浮かび上がってくる作品もあることに驚きました。
小磯良平の作品には、《群像》のように、多数の人物が描かれているにも関わらず、誰一人としてお互いに視線を合わせていないという作品が多いと言います。これは、指摘を受けて改めて眺めてみると確かにそのとおりで、不思議な感覚を覚えます。実は、こうした不思議な感覚こそが。小磯良平ならではの都会的なセンスの元になっているようです。
特集:挿絵原画「古都」では、川端康成の小説「古都」の挿絵として描かれた作品が展示されていました。そう言えば、『伊豆の踊り子』や『雪国』などは読んだ記憶はありますが、『古都』はまだ読んでいないような気がして、読んでみようかなと思いながら鑑賞していました。