神戸市立小磯記念美術館で開催されている美術講座に参加しました。今回は、2019年度美術講座の第2回で、神戸市立小磯記念美術館の学芸員・多田羅珠希さんによる「フォンタネージがもたらした光-明治の洋画家の夕景表現から-」でした。
現在、小磯記念美術館では、特別展「黄昏(たそがれ)の絵画たち-近代絵画に描かれた夕日・夕景-」が開催されており、今回の美術講座はこの展覧会に関する内容となりました。
特に日本人の夕景表現に大きな影響を与えたアントニオ・フォンタネージに注目した講義内容でした。フォンタネージは、1876年に日本に開校した工部大学校から招聘されて日本にやってきたイタリア人画家です。在日期間は約2年程度でしたが、その間に在学していた浅井忠、五姓田義松、小山正太郎、松岡寿、山本芳翠などを中心に大きな影響を与えたようです。
美術講座では、来日前のフォンタネージの画業や在日時の様子、そして工部大学校で美術を学んだ生徒たちの風景表現を中心に詳しく話を聞くことができました。展示中の作品を例に、フォンタネージの作品に見られる夕景表現や逆光表現、そして、彼に学んだ画家たちの風景表現の類似点などもよくわかりました。
特別展「黄昏の絵画たち」は、美術講座を聞く前にも鑑賞していましたが、聞いた後に再度鑑賞してみると、新たな鑑賞ポイントが得られてより充実して楽しめました。特に、フォンタネージの作品に対する敬慕の思いと共に、彼に学んだ画家たちの表現にも注目して鑑賞することができました。
今回の美術講座では、知識的な学びを深めることで、より奥深い美術鑑賞ができることがよくわかりました。こうした美術講座は、他の美術館でも随時開催されていますので、お近くの美術館で受講できる機会がありましたら、積極的に参加されるとより楽しい美術館巡りができると思います。