【感想】「五大浮世絵師展」(兵庫県立歴史博物館、2019/4/20~6/16)レビュー

姫路城のすぐ近くに兵庫県立歴史博物館があります。この博物館は、文化勲章を受賞された丹下健三氏が基本設計をされた建物で、姫路城をイメージして造られています。壁は石垣を、空調用の換気口は狭間(さま)を表しているそうです。そして、外観は白鷺が羽を広げた様子を表現しています。

 

さて、ここでは2019年4月20日から6月16日にかけて「五大浮世絵師展」が開催されています。私が行ったのは、展覧会が始まって1週間後の4月27日(土)でした。兵庫県立歴史博物館のすぐ近くに有料駐車場があり、車で行くにはなかなか便利なところにあります。

五大浮世絵師展

 

今回の展覧会は「五大浮世絵師展」と名付けられているように、代表的な5名の浮世絵師の作品が順に展示されていました。喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳の5名です。

 

最初は、美人画の第一人者とも言われる喜多川歌麿です。流石に歌麿の作品は表情や仕草のひとつひとつが艶っぽくて、魅力にあふれています。絵から女性たちの日常が垣間見れるようなウィットに富んだ作品が多いな、という印象でした。

 

続いて、浮世絵界最大のミステリー絵師とも呼ばれる東洲斎写楽です。彗星のごとく突如現れた写楽は、登場から約10ヶ月後に突如姿を消します。そんな写楽の作品が並びます。役者絵を得意とする写楽ですが、今回の展覧会では初期の大首絵(おおくびえ:歌舞伎役者や遊女などを半身像や胸像として描いた浮世絵版画)が結構集められていました。それらには役者の個性が大胆に表現されており、彼らの性格がありありと観るものに伝わってくるから不思議なものです。

 

次は、「冨獄三十六景」シリーズで有名な葛飾北斎です。今回は、初期の役者絵も展示されていますが、改めて「冨獄三十六景」シリーズの素晴らしさに気付かされました。「凱風快晴(赤富士)」「神奈川沖浪裏」「山下白雨(黒富士)」などの超有名な作品も並んでおり、何度も見返したくなる完成度でした。

 

続いて「東海道五拾三次之内」シリーズで有名な歌川広重です。今回の展覧会で、最も印象に残ったのがこの方の作品群でした。もちろん、以前から目にしている作品が多かったわけですが、改めてその魅力がぐんぐん迫ってきました。やはり「東海道五拾三次之内」シリーズは最強で、作品自体に情感がたっぷり込められているんですね。それぞれが感情を持った作品に仕上がっています。単に構図が良いとか、色合いが良いとかだけではない魅力がありました。特に、日本的な感情がふんだんに込められているというイメージです。

 

そして、最後は、近年急激に注目度が上がってきた歌川国芳です。武者絵を得意とする国芳の真骨頂とする作品が並んでいました。ヒーローを扱った作品を数多く描き、当時の人々の心を鼓舞していたんですね。幕府を批判した絵や隠し絵など、民衆の心を巧みに掴むことを得意とした絵師ならではという作品が展示されていました。

 

以上、展示順に振り返ってみましたが、ゴッホなど、世界の一流の画家たちにも影響を与えた、日本が誇る江戸時代の絵師たちの魅力が存分に味わえる展覧会でした。

 

2019年06月06日|ブログのカテゴリー:2019年投稿, 展覧会レビュー