【感想】「チームラボ 世界は暗闇からはじまるが、それでもやさしくうつくしい」(姫路市立美術館、2019/4/20~6/16)レビュー

4月27日(土)は、兵庫県立歴史博物館で開催されている「五大浮世絵師展」を鑑賞した後、すぐ近くにある姫路市立美術館に行ってきました。こちらの美術館では、2019年4月20日から6月16日にかけて「チームラボ 世界は暗闇からはじまるが、それでもやさしくうつくしい」が開催されていました。

 

この展覧会は、鑑賞者と作品が互いに融合しながら作品が次々と変化していくという、チームラボによるプロジェクション作品とモニター作品からなるもので、撮影がOKになっていました。解説を読むと、チームラボ(teamLab)というのは、2001年から活動を開始した学際的なウルトラテクノロジスト集団で、アート/サイエンス/テクノロジー/デザイン/自然界の交差点を模索していると言います。

 

今回の展覧会は全部で4つの章からなります。
01 世界は、統合されつつ、分割もされ、繰り返しつつ、いつも違う
02 世界は暗闇から生まれるが、それでもやさしくうつくしい
03 Black Waves:埋もれ失いそして生まれる
04 永遠の今の中で連続する生と死、コントロールできないけれども、共に生きる

 

それぞれ、意味ありげな長文のタイトルになっていますが、実際に体験するまでどんな作品なのか想像がつかない展覧会でした。そこで実際に体験してみると、要するに鑑賞者が近づいて体を動かすと作品の映像がそれに合わせて変化するというインタラクティブな作品を中心に構成されていることがわかりました。美術館の壁や仕切り板全体をスクリーン画面として利用し、鑑賞者の動きをコンピュータープログラムでリアルタイムに計算しながら、絶えず変化し続ける映像を写していました。

 

作品01は、画面上の無数のピクセルの集合体が鑑賞者の動きに影響を受けながら変化するという、少し古い世代のデジタル的な動きを使った作品でした。続く作品02は、文字(漢字)をキーワードにしたインタラクティブな作品で、作品のなかを動く漢字に手を近づけると手に吸い込まれるように変化します。

 

作品03は、ひたすら波の映像が一面に広がっており、近づいてよく見ると実際の波とは全く異なるのですが、現実の波以上に波らしい動きが感じられる不思議な作品でした。個人的には、この作品が一番惹かれました。

 

最後の作品04は、花の誕生と死滅を描いた美しいインタラクティブ作品で、絶えずコンピュータープログラムによって計算されつつ映像化され、同じ映像は二度と現れないという一期一会の作品でした。

チームラボ 世界は暗闇からはじまるが、それでもやさしくうつくしい

 

土曜日に行ったことも影響しているとは思いますが、通常の展覧会と異なり、若い女性やカップル、子どもが多い展覧会でした。古典・近代美術が好きな従来の美術ファン層とは異なる、インスタ映えを愉しむ若い方が多いという印象を受けました。どちらかというと、気取った芸術というよりエンタメ感覚で楽しめる展覧会でした。これも新しい芸術の姿のひとつなのでしょう。

 

2019年06月07日