【感想】「上方界隈、絵師済々 Ⅰ」【前期】(中之島 香雪美術館、2019/12/17~2020/3/15)レビュー

中之島 香雪美術館で開催されている「上方界隈、絵師済々 Ⅰ」【前期】(会期:2019年12月17日~2020年3月15日)に行ってきました。この展覧会は、前期(2019年12月17日-2020年2月2日)と後期(2020年2月4日-3月15日)で作品の総入れ替えがあり、前期は「京都画壇の立役者たち」というテーマで、円山・四条派を中心に上方画壇の展開に注目し、円山派だけでなく他流派も含め京都で活躍した絵師たち紹介されています。

中之島 香雪美術館「上方界隈、絵師済々Ⅰ」中之島 香雪美術館「上方界隈、絵師済々Ⅰ」

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

 

【前期】京都画壇の立役者たち

第一章 応挙登場
第二章 応挙スタイル
第三章 京界隈、絵師済々
第四章 応挙一門

 

第一章は、円山応挙の作品を中心に展示されています。章タイトルにある「応挙登場」というのは、池大雅、与謝蕪村、曾我蕭白、伊藤若冲といった錚々たる絵師たちがひしめく上方画壇に、写生をもとにした絵画を得意とする円山応挙が燦然と登場した、ということでしょう。確かに、《棕櫚図》という作品を観ても、その精緻な表現は見事と言うしかありません。展示期間の関係で《桜に月図》は観れなくて残念でしたが(図録の最初に掲載されています)、こうした作品が当時の人々の心をぐっと掴んだ様子は容易に想像できます。

 

第二章では、「応挙スタイル」の継承として、呉春が描いたと思われる作品や円山応瑞・木下応受の作品、森寛斎の作品が展示されていました。森寛斎の《七難図巻》では、処刑や切腹、首吊など、実に生々しいシーンが描かれていました。

 

第三章では、池大雅や曾我蕭白、原在中、長沢芦雪、呉春といった京都画壇の作品が並んでいました。個人的には、長沢芦雪の《山家寒月図》の世界観が実に心地よく心に響きました。

 

第四章では、応挙一門として、嶋田元直、源琦、山口素絢、奥文鳴、山本守礼の作品が展示されていました。また、円山応挙が子孫に向けて残した、絵入りの教訓《子孫への教訓書》も展示されていました。

 

展示点数そのものは約30点と、決して多くありませんが、穏やかな時間を過ごせる貴重な空間を堪能できました。平日だったことも有り、一つ一つの作品をじっくり味わう機会を得ました。改めて日本人絵師たちの魅力を感じることのできる展覧会でした。後期展示も楽しみです。

2020年01月05日|ブログのカテゴリー:2020年投稿, 展覧会レビュー