【感想】「人形(ひと)を描く―小磯良平と西洋人形―」(小磯記念美術館、2020/2/6~4/5)レビュー

神戸市立小磯記念美術館で開催されている、コレクション企画展示「人形(ひと)を描く―小磯良平と西洋人形―」(会期:2020年2月6日~4月5日)を鑑賞しました。この展覧会では、人形を描いた小磯良平の数々の作品と共に、小磯良平旧蔵の人形たちも合わせて展示されていました。

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

【プロローグ】人形を描く
【セクション1】さまざまなコスチュームをまとって
【セクション2】椅子に腰かける
【セクション3】人と静物のあいだで
西洋人形を描いた画家たち

 

プロローグでは、モデルが人形であることを忘れさせるかのようなかわいい姿の作品が並びます。実際の人形はどこか怖い表情を伴なっているのですが、小磯良平がそれを描くと温かみのある魂の宿った優しい存在として画面に現れてきます。小磯良平の性格が反映されているかのようです。

 

一方、セクション1~3では、さまざまなタイプの作品が並び、人形を人形として、あるいは静物のひとつとして描かれた作品もあります。その描き分けは見事と言うしかありません。あるときは、生命が宿った優しい姿に、あるときは観たままに描いたちょっと怖い姿に、またあるときは小物として生命の無い人形の姿を描いています。また、人形から人間へと変身してしまった《腰かける婦人たち》のような作品もありました。

 

展示の最後には、昨年末に亡くなられた石阪春生(いしさか はるお)さんの人形を描いた作品4点と共に、田村孝之介、伊藤継郎、西村功、宮脇成之の人形を描いた作品が展示されていました。同じく西洋人形を描いても、画家によって全く異なる雰囲気を醸し出すところが興味深いですね。

 

さらに、今回のコレクション企画展示では、「新聞連載小説挿絵原画展―『適齢期』(四)【白川渥・著】―」と「小磯良平作品選V」も同時開催されています。「新聞連載小説挿絵原画展」の作品や、「小磯良平作品選V」で展示されていた植物や昆虫などを描いた油彩やエッチング作品を観ると、あらためて小磯良平という画家のデッサン力の凄さを感じました。

 

今回はコレクション展なので入館料が大人200円となっていて、費用対効果抜群の展示内容になっています。お近くにお越しの際は、ご覧になってかわいい人形たちの姿に癒やされてください。

2020年02月23日|ブログのカテゴリー:2020年投稿, 展覧会レビュー